「ダイエットに効果があると言われる踏み台昇降だけど、足に筋肉がついて太くならないかが心配……」という声をよく耳にします。

たしかに踏み台昇降では、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)やハムストリングスなど、太ももの筋肉を使って昇り降りをするので、太ももの筋肉が鍛えられて太くなるんじゃないかと考えてしまいますよね。

しかし、筋肉が増える(太くなる)ためには、過度の負荷によって筋肉の繊維を一度破壊してから2~3日かけて回復させるという一連のサイクル(超回復と呼ばれます)を繰り返す必要があります。
踏み台昇降の負荷には、筋肉の繊維を破壊するほどの強さはありません。

つまり、一般的なやり方の踏み台昇降運動で足の筋肉が増えて太ももが太くなるということは、基本的にありえないと言えるでしょう。

そんなに簡単には筋肉は増えないのです。ムキムキになるのって大変なんですよ……!

たとえば重いバーベルを持ち上げたままで踏み台昇降、とか、60cmの台に超高速で昇り降り(危険!)……みたいなハードなトレーニングをすれば、太ももの筋肉が破壊されて筋肉が増える原因になるかもしれませんが、さすがにそれはもう踏み台昇降とは別モノの運動ですよね……。

「筋力」と「筋肉」は意味が違う

踏み台昇降で鍛えられるのは「筋力」です。「筋力」がつくことと「筋肉」が増えることは、根本的に意味が異なります。
筋力とは、自分が持っている筋肉の力を発揮する能力のことです。

筋肉が多い人でも、普段あまり筋肉を使わないでいると、次第に筋力が落ちていきます。筋力が落ちると、脳が「もうこの筋肉は使わない」と判断して、筋肉をエネルギー源として消費して、減らしてしまいます。

筋力は美容のためにも大切!

筋力が落ちて筋肉が減ってしまうと、身体の骨格を支える力が弱くなり、転んだりつまづいたりしやすくなります。また、血行が悪くなり、冷え性やむくみ、関節痛などの原因にもなります。

さらには、基礎代謝が落ちるため、太りやすくなります。ホルモン分泌も減少するので、肌の老化にも繋がります。

基礎代謝とは、わかりやすく言うと、普通に生活している状態で消費されるエネルギー(カロリー)のことです(呼吸したり心臓が動いたり、人間の身体は常に「運動」をしてカロリーを消費しているのです)。

筋力は美容のためにも重要なのです。

ダイエットの目的は、単に「体重を軽くする」のが目的ではなく「美しい身体になる」ことであるべきです。やせ細って体重が減ったは良いけど、筋肉も減って肌も衰えておばあちゃんみたいになった……では元も子もありませんよね。

そのためにも、足の「筋肉」を太くするほどの負荷は無いけど、「筋力」はしっかり鍛えることができる踏み台昇降は、健康的なダイエットにぴったりの運動なのです。

それでもやっぱり足が太くなった気がする…

「それでもやっぱり、踏み台昇降をした後に太ももやふくらはぎが太くなった気がするんだけど……」という人がいるかもしれません。

それにはいくつかの原因が考えられます。

まずは「むくみ」。

「えっ? 運動はむくみを解消するんじゃないの?」と思いますが、実は状況によっては、運動によって手足のむくみが起こることがあるのです。

これは運動誘発性浮腫(Exercise-induced Peripheral Edema)などと呼ばれており、運動をすると肺や心臓に血液が集まるため手足の血流が悪くなることや、運動後に熱を持った筋肉を冷やすため身体の表面の血管が熱を発散することなどが原因として考えられています。

むくみを解消するためには、運動のあとにストレッチやリンパマッサージなどで足をほぐしてあげるのが効果的。老廃物が流れてしまえば、元に戻ります。

もう一つの可能性が、筋肉の「パンプアップ」によるもの。

パンプアップとは一種の筋トレ用語で、筋肉を使う運動をすると乳酸などの代謝物が筋肉にたまるので、それを中和するために水分が筋肉に集まり、一時的に膨張した状態になることを言います。
ボディビルダーの筋肉がパンパンに張っているのを見たことがあるかもしれませんが、それと同じ原理です。

筋肉に負荷がかかることで起きる現象なので、条件によってはどんな運動であっても起こり得ます。

それまで普段あまり運動をしていなかった人にとっては、踏み台昇降も十分な負荷となり得るため、パンプアップが起きる可能性は十分あります。

でもそれはしっかり運動ができている証拠。

知識がないと「運動したせいで太くなった!?」と不安になってしまいますが、パンプアップは通常20分程度で収まってもとに戻るので心配しなくても大丈夫です。

運動に慣れて筋力がついてくると、負荷を感じなくなるためパンプアップは起こりにくくなります。
そこから続けていくことで、脚痩せの効果も表れてきます。

まとめ

踏み台昇降は子供やお年寄りでも気軽に取り組める「軽い運動」なので、一般的なやり方で行っている限りは、筋肉がついて足が太くなってしまうようなことはありません。

言ってしまえば、踏み台昇降には「筋肉を増やす」ほどの効果はないのです。

しかし、健康的な生活や美容にとって重要な「筋力」を鍛える効果は高いため、「美しく痩せたい」という人には断然おすすめのダイエット法と言えます。

踏み台昇降で足が太くなった気がする場合は、運動後に起こる一時的な現象である可能性が高いです。

「太くなった」と勘違いして、そこで踏み台昇降をやめてしまうのは勿体ない! 正しい知識を持っていれば安心ですね!