
ダイエット目的で踏み台昇降を始めるなら、気になるのはやっぱり「どのくらいやれば効果があるのか」ですよね。
踏み台昇降は誰でも気軽に始められるのがポイントで、どちらかと言うと「軽めの運動」なので、「これだけやればすぐに痩せる!」みたいな即効性はありません。
しかし、「軽めの運動」だからこそ継続して続けやすいのが魅力でもあり、続けているうちに少しずつ効果が出てくるタイプの運動です。
また、踏み台昇降には単に脂肪を減らすだけではなく、身体そのものの健康を整える効果も高いので、継続することで「太りにくい身体」になっていきます。
そういう意味でも、無理なダイエットで身体に負担をかけて一時的に痩せるよりも断然おすすめ!
この記事では、実際に踏み台昇降をどのくらい続けると効果があるのかを、理論にもとづいた数値で検証していきます。また、効率的に効果を上げるための方法についてもあわせてご紹介します。
もくじ
運動のレベルや本人の環境によって結果は異なる
先に結論を書いてしまうと、「踏み台昇降をどのくらい続ければ効果が出てくるのか?」への答えは「場合によって異なる」としか言いようがありません。
ダイエットというのは、ただ1つの方法で結果が決まるものではないからです。
人によって、体質も食事の内容も異なりますし、仕事などの生活環境も違います。
もし仮に、全く同じ方法(同じものを同じ量だけ食べて、同じ運動をする)でダイエットをしている人が2人いたとして、1人は飲食店で一日中立ち仕事をしており通勤は自転車、もう1人はオフィスで一日中パソコンの画面に向かっている座り仕事で車通勤だった場合、運動量に違いが出るのは当然ですよね?
なので、「1日に●●回すれば○○日で効果が出ます」などと断言しているような情報や商品は、あまり信用してはいけません。
また、踏み台昇降は、台の高さや昇り降りのペースによって運動量が大きく変わります。これもまた「○○日で効果が出る」と単純には言えない理由のひとつです。
どんなダイエットでも、大切なのは「正しい方法で効果が出るまで続ける」ということ。
踏み台昇降がダイエットに良いと言われているのは、「続けやすい」からです。そして、続けていれば必ず効果が出ます。
焦らずに長期的な目で見て取り組みましょう。
平野ノラさんが踏み台昇降ダイエットで3kgの減量に成功したそうです! – Fumi×Fami
それでもやっぱり、本当に効果は出るのか不安だったり、最低限どのくらいやればいいのかを知りたいという人、いますよね?
そこで、次の項目では踏み台昇降運動による消費エネルギー(カロリー)をもとにした、実際に脂肪燃焼に必要な運動量の目安についてご説明します。
踏み台昇降による消費カロリーがわかれば必要な運動量がわかる!
運動による消費エネルギーを求めるには、その運動に対して身体が必要とする酸素の量をもとにしたメッツ(METs)という数値が用いられます。
メッツ(METs)とは?
メッツ(METs)とはMetabolic Equivalent(代謝当量)の略で、運動による代謝(カロリー消費)の度合いを表す単位です。何もせず座っている状態の安静時を1メッツとして、様々な運動がその何倍のカロリーを消費するかを、体重と酸素の摂取量をもとにして計算します。
たとえば、室内をゆっくり歩くのは2.0、ジョギングは7.0、水泳のバタフライは13.8、のように表します。
一般的にはアメリカのACSM(アメリカスポーツ医学会)が発表している数値が基準として用いられます。日本語版も国立健康・栄養研究所より「身体活動のメッツ(METs)表」として公開されています。
踏み台昇降は何メッツ(METs)?
気になる踏み台昇降運動のメッツはいくつなのでしょうか? 実はこれが少々厄介で……先ほどご説明したとおり踏み台昇降は台の高さや昇り降りのペースによって運動量が大きく変わるため、状況に応じて計算しなくてはいけません。
そしてその計算式がこちら!
出典:Metabolic Calculations © 2015 American College of Sports Medicine
…!?
これではさっぱりわかりませんね。なのでわかりやすく日本語に直すと
という式になっています。
酸素摂取量が、メッツ(METs)の基準になる数値です。
昇降回数は「昇って降りる」までを1セットとして、その1分間あたりの回数です。すなわち「片足昇る→両足昇る→片足降りる→両足降りる」までの4歩分を1と数えます。100bpm(1分間あたりの拍数)のテンポの曲にあわせて昇降運動している場合は100÷4で「25」となります。
台の高さはメートル単位です。20cmの踏み台を使っている場合は、20cm=0.2mなので「0.2」です。
最後の「3.5」は安静時の酸素摂取量の基準値です。
この例で実際に計算してみましょう。
昇降回数(100÷4) = 25
台の高さ(20cm) = 0.2
なので
(0.2 × 25) + (1.33 × 1.8 × 0.2 × 25) + 3.5 = 20.47
これを1メッツ(METs)の基準値である3.5で割ると
20.47 ÷ 3.5 = 5.84
ということで、約5.8メッツ(METs)となります。この数字は踏み台の高さが高くなるほど、またテンポが速くなるほど大きくなります。
実際にカロリーが消費される量は?
メッツ(METs)がわかれば、実際にカロリーが消費される量を調べることができます。
カロリー消費量の計算式は「メッツ × 運動時間 × 体重」。
先ほどの5.8メッツの踏み台昇降運動(毎分20回昇降/高さ20cm)を、30分間(=0.5時間)、体重60kgの人が行った場合のカロリー消費量は
5.8 × 0.5 × 60 = 174 kcal
見事カロリー消費量が求められました!
ただし、運動で体脂肪を燃やしてダイエットを目的とする場合は、平常時のカロリー消費分を引いて考えなくてはいけません。すなわち、5.8メッツから安静時分の1メッツをマイナスした「4.8メッツ」として計算しなおしましょう。
4.8 × 0.5 × 60 = 144 kcal
これが実際に踏み台昇降運動で消費されるカロリーです。
体重を1キロ減らすために必要な運動量と日数は?
計算が多くて疲れてきましたが、いよいよ本題です。
脂肪1kgを燃やすためには、約7,200kcalのカロリーを消費する必要があります。
先ほどの 144kcal 分の踏み台昇降運動を毎日行った場合、1kg体重を落とすには何日かかるでしょうか?
ということで、答えは50日! 早いと感じるか、遠いと感じるかは人それぞれでしょうが、あくまでこれは毎日30分だけ運動した場合の数字です。
時間を長くしたり、テンポを早くしたり、台の高さを上げることで、日数を縮めることができます。また、その他の運動や、食事によるダイエットも組み合わせて行うことで、より効率を上げられます。
ともかく、続ければ必ず効果は出る、という数字的な根拠があることはモチベーションに繋がりますよね!
でも……計算が大変! というそんな貴方に朗報です。
実は数値を入力すると自動でメッツとカロリー消費量を計算してくれるサイトがあります! ただし海外のサイトなので、ちょっとわかりにくいため、次の項目で使い方を説明します。
(2018年8月2日追記)日本人でもわかりやすいように当サイト独自の計算システムを作ってみました! よかったらご利用ください。
踏み台昇降運動の消費カロリーを簡単に計算できるサイト
そのサイトは「Step Metabolic Calculator(ステップ・メタボリック・カルキュレイター)」。
一応「言語を選択」というメニューがあって日本語も選べるようになっているのですが、自動翻訳がおかしくて余計にわかりにくくなるので英語のままで使いましょう。
まずは、単位を日本人でもわかりやすいものに変更します。

上の図のように、Inches(インチ)をCentimeters(センチメートル)に、lbs(ポンド)をkg(キログラム)に変更しましょう。
「Energy」の項目の「Gross」は安静時のエネルギー消費も含んだ全体の数値、「Net」は安静時の数値を引いた運動のみによる数値を意味します。
先ほど説明したとおり、ダイエットのためには運動でのカロリー消費を見ていく必要があるので、「Net」に設定しましょう。

上の図の赤枠の部分に数字を入力していきます。先ほどの例に従って、昇降回数は「25」、踏み台の高さは「20cm」、体重は「60kg」、運動時間は「30分」に設定しました。
入力が完了したら、計算ボタンをクリック!

メッツと酸素摂取量(VO2)と消費カロリーが表示されました。簡単!
別の例も載せておきましょう。ちょっと運動に慣れてきて体力のある人の場合を想定します。たとえば120bpm(ちょっと速め)のテンポ(=昇降回数は30)で、高さ25cmの踏み台を使用して、体重58kgの人が40分間運動した場合は……?

さっきとはかなり違いますね。運動強度は6.8メッツ、消費カロリーは278kcalです。
このレベルで毎日続けた場合は、1kg減らすのに必要な日数は 7,200 ÷ 278 = 25.8 ということで約26日! かなり短縮できましたね!
・ExRx.net : Step Metabolic Calculator
このように数値を上手く活用することで、目標体重に向けての運動量と日数を設定することができます。
くれぐれも無理は禁物ですが、目標を決めてスケジュールを組むことで、やりがいや達成感も生まれて継続しやすくなります。
しっかりと続けられるように計画的に取り組んでいきましょう。
